以前にご紹介した、「里山のかまど チャフィー」。
取扱いを開始し間もないが、ストーブ屋として科学的に分析する必要性を感じ、今回はめんどくさい観点から調査を行った。
もみ殻を燃料にした籾殻かまどは、大昔(昭和30年代頃まで)には各地で「ぬかくど」と呼ばれ、よく使われていたようである。
もみ殻のことを「もみぬか」と言って、もみぬかを使ったくど(かまど)だから略して「ぬかくど」と呼ばれたそうな。
(だったら「もみくど」じゃねーか。)
私が一番はっきりとしたかった点。 なぜもみ殻にこだわるのか?
もみ殻の代わりにおがくずを燃料にして燃やすと、燃焼温度が高すぎて本体の劣化に繋がるだけでなく、温度調整が難しい。
もみ殻を燃料にしているという点には深イイ話があったことを知っていただきたい。 (フカイ~ィ♪)
また、たかがご飯を炊くだけじゃないかと思われるかもしれない。
日本人が大好きな主食であるお米をいかにして、より美味しく頂くかに拘ってみたくはないでしょうか?
近年の炊飯器もすべて「かまど」の原理を活用している。 今だからできる技術かもしれないが、言い換えればお米を美味しく炊く技術など昔から存在していたということである。
そして、電気やガスに頼らなくても作る事ができる点。 便利なものを活用するに越したことはないが、原点を知っているかいないかでも生き延びる事に差は必ず出てくるであろう。 楽しみながら備える大切さ、 それを富士ストーブは伝えていきたい。
かまどの利点は、少量の燃料で効率よく、クリーンな煙で白煙をあまり出さないように燃やしながら熱を一点集中させてより高温の熱源をつくる事ができる点である。 だからこそ、かまどのごはんは美味しいと言われるのである。
1.カマドの構造
もみ殻カマドにおいて、一番のポイントは酸素の供給量である。
外枠も内枠も側面に穴が開いている。 羽釜を載せる羽釜台にも穴が。 しかし穴の大きさが異なっている。
外枠と内枠の穴の大きさは同じ。 大き過ぎるともみ殻が出てくるし、小さ過ぎると もみ殻で塞いでしまう。絶妙なサイズである。
内枠内部にセットした薪が燃えると、外枠と内枠との間にセットしたもみ殻から熱せられて可燃性ガスが発生する。
そのガスを燃焼させるには十分な空気が必要。 よってそれなりの大きな穴が必要なのである。
ガス燃焼(二次燃焼)を誘発することで熱効率を上げながらもクリーンな排出を実現させている。 まさに薪ストーブ原理。
もみ殻は高温の上から炭化してゆき、ムラなく炭化する様に側面全体に穴を設けている。
この穴から見えるもみ殻が真っ黒になったら燃焼終了サインとなる。
つまり、この穴(酸素供給用)の数やサイズはしっかり計算されている優れモノである。
もみ殻を活用するのは、
①無料で手に入る事
②発熱量は決して高くないが、長時間燃え続ける事ができ効率が良い事
これをカマドで使えば、そりゃ完璧ですわ。
台座の構造も無視できない。
下からの空気提供の為に底上げし、内枠と外枠共通台座にしている部分も憎らしい。
中を覗いた際、地面が見えるくらい穴が開いている点がポイントであろう。
2. もみ殻の充填量
枠に一杯充填して約5合のお米が絶妙に炊ける様に設計されている。 挑戦はしていないが、充填量を軽減させることで5合以下の炊飯も可能なのは間違いない。
3. 着火
焦がさずにうまく炊くコツは、火が少し落ち着いてから、羽釜を火にかけること。すると、上手に炊けます。
最初、火力はかなり強いです。そのうちガス燃焼が始まって安定した火力に変わります。
沸騰して湯気がどんどん出てきます。 そのまま火にかけておくと当然ながら焦げるので、羽釜を下します。
見極めは、真っ白な湯気が半透明になってきた頃が、火から下ろす目安かも。(ここは経験が必要ですね)
炊けたかどうか自信がなければ、ふたを開けて確認すればOK。
赤子泣いてもふた取るなといいますが、あまり関係なさそうである、実験してみてわかった。
火から下ろすタイミングが早すぎても遅すぎてもだめなので、慣れないうちはふたを開けて確認するのが簡単&確実であろう。
むらしの時間も考えるとより美味しくいただけるのではないでしょうか?
ウンチクの多い話であったが、そういった目線から製品を見てみるのも悪くはないでしょう。
是非 ショールームにてご確認くださいませ。